大久保賢一@畿央大学のブログです。特別支援教育、応用行動分析学(ABA)、日々のつぶやき等。
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 今年度、大阪府と和歌山県でスタートした強度行動障害支援者養成研修は、先週大阪で第3回、和歌山で第2回を終え、いよいよ実際に支援計画を作成する段階に入ってきました。

 それでこれまでの研修で出てきた課題について整理して、今後の対応を計画しておこうと思います。

 今、連続研修では基礎的な理論を学んでいただきながら、機能的アセスメントと行動支援計画を立案するために、このような「ストラテジーシート」に記入していくという演習を行っています。

FBA.png 
BSP.png 


 そしてその方略は実際に各施設で実行していただき、今後の研修では行動記録を基に、評価と修正を繰り返すということになります。

 しかしながら、実際に研修の中で「ストラテジーシート」の作成を行う中で、いくつかの課題に直面することになりました。
 以下、直面した問題と今後どう対応するかのアイデアのメモ。

 何らかの形で読者の皆さまのお役に立てば嬉しいです。


〇結果事象のところに行動の随伴性には関係のない「行動の結果」を記入してしまう

(例)「自傷した結果、叩いたところが腫れ上がる」など、結果事象が強化なのか弱化なのか不明な記述(「行動の機能」という観点が欠けている)

(理由)
・「行動の随伴性」や「行動の機能」に関する理解が十分ではない
・ストラテジーシートの各セルの意味やストラテジーシート全体を作成する目的を十分理解していない

(対策)
・架空事例を用いたストラテジーシート作成の練習を数事例分繰り返し行う
・「結果事象」の箇所には「対象者がその行動によって『何を得ているのか?』(正の強化)『何から逃れているのか?』(負の強化)を記入するようにインストラクションする
MASなどの評価尺度を用いて「注目獲得」「要求」「逃避」「感覚」のどの機能に該当するか目星をつけてもらってから記入してもらう
・「ある刺激なし(刺激あり)→ある刺激あり(刺激なし)」で随伴性を記述する「行動分析学入門」で用いられている「随伴性ダイアグラム」を用いる


〇「結果事象」に記入する内容を考え出せない

(例)記入者から「私は問題行動に対して何も与えないし、注目もしないし、逃避もさせないので、ここに何を書けばいいのかわからない」という質問が出る

(理由)
・他の人が何らかの強化をしているが、ストラテジーシートを記入している本人はそれを知らない
・「消去バースト」で行動が維持しているので、ストラテジーシートを記入している本人には結果事象がわからない
・実は強化しているが、本人がそれに気づいていない

(対策)
MASなどの評価尺度を用いて「注目獲得」「要求」「逃避」「感覚」のどの機能に該当するか目星をつけてもらってから記入してもらう
・自分以外の人物の対応も視野に入れるようインストラクションする
・必要に応じて関係者会議を計画する
・必要に応じてSVによる直接観察を計画する


〇「代替行動」や「望ましい行動」を考え出すことができない

(例)記入者から「ここに何を書けばいいのかわからない」、「思いつくものはあるが、実際やってみてうまくいかなかった」「思いつくものはあるが、施設の現状では無理」という質問が出る

(理由)
・指導を試みたが失敗した経験がある、あるいは最初からとても無理だと考え、その行動が最初から選択肢から省かれてしまっている
・アイデアとして出された代替行動がその環境内で許容できないと考えられるので、最初から選択肢から省かれてしまっている(例:施設から脱走して近所のコンビニで無銭飲食してしまう利用者さんに対して、施設内で「お買い物」をしてもらって好きな食べ物や飲み物を得ることができるようにすることを思いついたが、1人だけにそのような特別扱いはできない)
・その環境内においては物理的に不可能であるので、最初から選択肢から省かれてしまっている(他の利用者さんの奇声が気になり攻撃行動を起こす方に、静かな環境に移動するよう要求させたいが、そのような静かな環境自体が用意できないなど)

(対策)
・最初はとりあえず思いついたものを書いてみる(ストラテジーシートを空白のままにしない)
・「過去の失敗策」には改善の余地があるかもしれないので、失敗した経緯をSVに相談して改善策を考える
・単に失敗を予期して候補から外している場合には、次善策が思いつかないのであれば、最善を検討しながらとりあえずやってみる
・「行動障害よりはマシであればOK」という観点を強調して、かなり柔軟に「許容できない」とされるその行動は、「本当に許容できないのか?」「行動障害の方が許容できるのか?」を施設全体で考え直してもらう
・あるいは「許容できる条件」について整理してもらう
・例えば「静かな環境」を用意するのが難しくても、耳栓やヘッドフォンなどで騒音を遮断するなど、全く別の方法によって目的を達成できないかを検討する
・利用者のスキルによって難しいと代替行動については、ツールやテクノロジーによって補完できないかどうかを検討する(必要であれば、その予算を確保する方法を検討する)


〇「望ましい行動」に対する正の強化子を設定することに抵抗感を示す

(例)記入者から「ご褒美を設定するとかえってそれにこだわるようになる」、「他の利用者が納得しないので特別扱いできない」、「ご褒美はずっと続けないといけないのでしょうか?」などといった懸念が示される

(理由)
・集団生活においては、メンバー間の「平等性」が重視される
・「お楽しみの設定」に関わる問題が実際に以前に起きており、その結果「刺激を与えないよう」制限してきた経緯がある
・記入者が「ご褒美で釣ることは良くないことである」という価値観を持っている

(対策)
・行動支援のゴールは「QOLの向上」であることを再度確認する
・「正の強化子」は「もの」に限定されないが、文脈に合えば「もの」的なご褒美も問題ない(我々の生活にもそのような例がたくさんある)ことを共通理解する
・「特別扱い」が難しいのであれば、その強化子をメンバー全員に提供できないか検討する
・それが難しければ、ニーズのある個人に「こっそり」提供することを考える
・強化子を設定することによる新たな問題が起こる可能性は確かにあるが(過度にそれを要求するようになったり、消去抵抗による行動障害など)、それは予測可能で解決可能な「壁」であり、新たなコミュニケーションスキルやセルフコントロールを学ぶチャンスであることを共通理解する
・それでもやはり甚大な被害が予想される場合は、別の方法を検討する


〇問題行動に複数の機能があるために、情報を整理できず計画がごちゃごちゃしてしまう

(理由)
・私が事前にきちんと解説していなかったため(反省)

(対策)
・各機能ごとに別のストラテジーシートを作成する
・機能の種類が多く、結果として方略が多くて複雑になりすぎる場合は、優先順位をつけて取り組む行動の機能を限定する


 私がここまでで学習したことは、行動支援計画の立案には時間がかかるということ(協議しながらストラテジーシートを埋めていくだけで5時間は必要であると思います)、そして経験がない作成者に対しては、かなりのプロンプトとフィードバックが必要であるということです。

 実感としては基礎研修で学んだ内容を、実際の支援計画に落とし込むのに「ちょっとしたプロンプトがたくさん必要」という感じです。
(ちょっと手がかりを出せば、「ああ、あれはここでこういう風に使うんですね」とすぐに理解していただけることが多い)

 今後は、施設や機関で方針を統一するために、そしてチームとして支援計画を立案し実行するために、各施設における組織マネージメントをどのように支援していくかということが課題になると思います。

 残りの連続研修もより良い研修にするために頑張りたいと思います。

 関係者の皆さま方、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m



【2014/09/01 11:03】 | 行動分析学
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翻訳していた表題の本が8月28日に金剛出版さんから発売予定です。
ありそうであんまりなかった「家族支援向け」PBS本です。

IMG_2009.jpg

目次はこちら・・・

第1部 ポジティブな行動支援(PBS)の紹介とその全体像:PBSの基礎

第1章 問題行動の理解とその対応

第2章 ポジティブな行動支援(PBS)について


第2部 ポジティブな行動支援(PBS)のプロセス:問題解決の全体像

第3章 ゴールの設定

第4章 情報の収集と分析

第5章 計画の作成

第6章 計画の実行


第3部 ポジティブな行動支援(PBS)の実際:事例を通して実際のプロセスを体験する

第7章 アヤの事例

第8章 ユキの事例

第9章 ケイタの事例


第4部 ポジティブな行動支援(PBS)による生活の拡大:そのプロセスを家族に役立たせる

第10章 ポジティブな行動支援(PBS)を家族生活に取り入れる

第11章 誰に対してもポジティブな行動支援(PBS)が機能するために


少しだけ内容を抜粋。

「子どもに困難な状況に対処するための、新しく適切なやり方を教えることは、行動変容を促す最適な方法です」

「誰も他人の行動をコントロールすることはできません。自分の生活や環境をどのように組み立てるか、また自分がやり取りしている人にどのように応じるかを変えられるだけです」

「PBSは、よくある問題に対する可能性のある解決策のノウハウを示したレシピ本ではありません。親として遭遇する多くの状況に応用できる、創造的で問題解決的なプロセス示します。言い換えれば、私たち親が遭遇する可能性のある行動に対応するための、多くの選択肢の中から選び出すためのロードマップを提供します。中国のことわざで言えば、PBSは『魚を与えるのではなく釣り方を教える』ということになります」

「最優先の関心事は、子どもたちや家族がよりポジティブで実りがある生活を送れるための助けをすることです。PBSのプロセスを通して、家族はより多くのことに取り組め、より多くの場所に行くことができ、全体としてより豊かな経験ができるようになるべきです」

改めて目を通してみて、手前味噌ながら「良い本だなあ」と思います(^^;)


内容は少し専門的なので、ある程度の予備知識はある方がいいとは思いますが、多くの親御さんにお役立ていただける内容であると思います。

また親御さんの支援に携わる支援者の方々や、学校の先生方にも是非とも目を通していただきたいと思います。

Amazonではもう予約ができるようです。




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【2014/08/23 21:33】 | 書籍紹介
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 8月20日(水)から和歌山県の強度行動障害支援者養成研修がスタートしました。
http://ohkubo14.blog103.fc2.com/blog-entry-117.html

第1回のテーマは「目標設定と行動記録」。
ガッツリ6時間の研修を行いました。

長丁場であったにも関わらず、受講者の皆さまは熱心に講義に耳を傾けてくださり、グループワークにも積極的に参加してくださいました。

大阪と同様、スタッフワークも素晴らしかったです。

来週は大阪の第3回、そして和歌山の第2回と強度行動障害研修は続きます。

情報を整理して支援計画を立案する重要なステップに差し掛かるので、一段と気合いを入れて臨みたいと思います。

関係者の皆さま、またよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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【2014/08/23 20:46】 | お知らせ
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7月29日(火)に大阪府の第2回(全6回)「強度行動障がい支援リーダー養成研修」を実施しました。

従来は第2回から「機能的アセスメント」に関する内容を扱い、個別的な行動支援計画を立てていく予定だったのですが、事前の打ち合わせにおいて砂川厚生福祉センターのスタッフの方々と相談して、「知的障害や自閉症のある方に対する『一次支援』について考える」とタイトルに変更しました。

「行動障害」に対する個別的な支援を検討するより前に、「通常の環境設定」、「通常のかかわり方」を再検討する方が優先されるのではないかと判断したからです。

少し詰め込みすぎてしまった感もありましたが、以下の内容について基本的な原理と具体例をお伝えし、各施設において実行できそうな計画を、それぞれの項目ごとに立案していただきました。

・環境の構造化
・声のかけ方、指示の伝え方の工夫
・動機づけを高めるための工夫
・スモールステップによる指導(シェイピングと課題分析)
・適切な援助とフェイディング
・選択機会の設定

次回以降は、各施設で取っていただいている行動記録の変容をチェックしつつ、各事例ごとの状況や行動の機能に特化した支援計画を立てていくことになります。

具体的な成果が見えて、参加者の皆さまの支援行動や記録行動が強化されるよう、こちらも頑張って取り組みたいと思います。


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ノースカロライナ大学医学部精神科TEACCH部

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【2014/07/31 14:58】 | お知らせ
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 以前から興味があった「魔法のプロジェクト」のセミナーにようやく参加することができました。

IMG_1955.jpg 

セミナーの資料が公開されています。
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魔法のプロジェクトサイトはこちら
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アプリレビューは登録なしで閲覧することができます
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魔法のプロジェクトチャンネルはこちら
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事例報告も含めセミナー全体的にとても面白かったのですが(久しぶりに全く居眠りしなかった(^^;))、東京大学の中邑賢龍先生の基調講演が私にとってはとても痛快で印象に残るものでした。

以下、いくつかお話しくださったことを抜粋。
(私の解釈に基づき補完している箇所もあります。正確な書き起こしではありません)

〇教師は「世の中で発達障害は受け入れられない」と考えているので、それを治そうとする。しかし発達障害は治らない
・治らないものを治そうとする結果、特別支援教育では「無駄なこと」をたくさんしているのではないか?
・重要なのは「諦める力」を持つこと

〇我々は配慮のようにみえる「いじめ」、「差別」、「おせっかい」をしている
・どうしてもそれができない子どもを励まし無理に頑張らせる(いじめ)
・障害のため書くことのできない子どものワープロ使用を認めない(差別)
・自分で手動車椅子で移動できる子どもをわざわざ押してあげる(おせっかい)

〇テクノロジーを用いることにより、「できなかったこと」を努力させることなく今すぐできるようにする
・テクノロジーによって直ちに「スタートライン」を揃えることができる

〇なぜ通常学級では「特別扱いはできない」を理由にしてテクノロジーの使用を制限するのか?
・テクノロジーを制限しながら、「インクルーシブ教育の推進」というのはそもそも矛盾している
・テクノロジーなしの「裸」でインクルージョンすると、そのインクルージョンされた子どもは間違いなく依存的になっていく
・障害がある以上、インクルージョンしても他の子どもとの「差」は埋まらない
・だからテクノロジーで武装するしかない

〇「みんなと一緒に学ぶ」ということに必ずしもこだわらなくていい
・集団に入れなくてもその人なりに学べればいい
・仕事がなければ、みんなで仕事を創ればいい(これは特別支援教育の教師の課題でもあるかもしれない)
・「みんな」で結びつかなくても、「自分と合う少人数」で結びつけばいい
・テクノロジーはそのようなことも可能にする


みんなが「何となく感じているけどはっきりとは言わないこと」を、具体的に突きつけていただいたような気がしました。

私的に結構衝撃的だったのはこのスライド。

nakamura.png 

最後の「学校」という項目は、「テクノロジーは『学校そのもの』をも代替できる(かもしれない)」という意味ですね(^^;)
インクルーシブ教育時代に突入するこのタイミングで、もう一度「学校とは何か?」「みんなと一緒に過ごすことの意味は何か?」について考え直さないといけないのだと思いました。

時間が押していたので質問できなかったのですが、もし時間があれば・・・

テクノロジーが進化し、「障害の補完」を越え「能力の増強」にまで至るとき、教育においては
「平等性」を理由に「テクノロジーが進化すればするほど使えなくなってしまうのではないか?」という可能性について聞いてみたかったです。

特に入学試験など、「平等な競争」(これを定義するのがなかなか難しい・・・)が求められる状況で、テクノロジーはどのように位置づけられていくのかという可能性についてお聞きしたかったです。



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【2014/07/27 17:41】 | 教育問題
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遠藤佑一
大久保さん、大変お久しぶりです。

自分が、ここ最近思っていることとして、いくら学校にATを入れていったところで、卒業後に受け入れる社会側の体制が整っていなければ、現場は簡単にATを受け入れられないのではないかな、ということです。将来の可能性に賭けて、有効に使える“かもしれない”スキルを子どもたちの欠かせないものとさせることに不安が捨てられずにいます。当たり前の話ですが、社会を生き抜いて行くために必要な能力は読み書き計算ばかりではないので、確かにATは魅力的で、現場にICTが入ることで子どもたちの理解は飛躍的に伸びる子もいます。ただ、それと同時に、学ぶべき大切なものを見失ってしまわないかなという不安も・・・。まぁ、そうさせないようにするのが私たち現場にいる教員の役割ではあるのですが・・・。
すいません、ちょうど自分も自校のICTプロジェクトに関わっていたので、思ったことをタラタラと書いてしまいました。
新天地での活躍を期待しています!!


大久保賢一
遠藤先生
大久保です。

コメントありがとうございます。
「学ぶべき大切なもの」とは一体何なのか?ということが難しいところなのでしょうね。

ICTの用い方によっては、先生が仰るようにそれを学び損なってしまうケースがあるかもしれないし、一方ではICTがあるから「学ぶべき大切なもの」を学ぶことができるようになるというケースもあるような気がします。

「障害者権利条約や障害者差別解消法の時代」になり、確実に「社会側の体制」の側にも変化することが求められるようになっていると思いますが、確かに学校の先生方の意識としてどうかという点は難しい課題であると思います。

またお会いできる日を楽しみにしております。

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 畿央大学、「教職員のための夏の公開講座」で一コマ担当させていただくことになりました。


koukaisemina.png

8月22日(金)の13時30分~15時(受付13時~)

会場はE棟1階のE101教室です。

「すべての子どもたちの成長を支える『かかわりの原理』」というテーマで応用行動分析学に関わる基礎的なお話をさせていただく予定です。

・行動を理解するための基本的枠組み
・行動の増減に関する基本的原理
・罰的な手続きの副作用
・スモールステップの指導法
・問題行動への対応の基礎

など、学校種や学級種を限定しない一般的な、そして実践的な内容にしたいと思います。


今回ご参加いただけるのは「奈良県の教職員」の先生方に限られているのですが、是非、多くの先生方にご参加いただければと思います。

申し込みはこちらまで
クリック

申し込みの〆切は8月16日(土)です。




【2014/07/21 21:02】 | お知らせ
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今年度、和歌山県で実施される行動障害支援者養成研修の募集が開始されました。
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/040400/koudou_sien.html

schedule.jpg 

今年度は講師としては、大阪府と並行しての連続研修になります。

なお、第2回の8月30日(土)は、公開講座ですので、連続研修参加者以外の方もご参加いただけます。

時間は10:00〜16:45、場所は県立わかやま館です。
http://www6.ocn.ne.jp/~wakan/

第2回(公開講座)では、「行動障害に関わる基本的な情報の収集・整理」、そしてその情報に基づく「行動支援計画の立案」について、わかりやすく詳しく解説をしたいと思います。

受講対象者は、「障害福祉関連施設、事業所の従事者等」となっておりますが、もし施設従事者以外の方(特別支援学校の先生など)が見学したいという場合などについては、県の担当者の方にご相談いただければ対応可能です。

多くの方々のご参加をお待ちしております。


【2014/07/17 13:20】 | お知らせ
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「小さい頃からこだわりや多動がひどく本当に手がつけられなかった」
「教師から『親が甘すぎるからだ』と言われたので、自分の手が腫れ上がるまで子どもを叩いた。腫れ上がった自分の手を見て我に返った。それだけ叩いても何も解決しなかった」
「子どもが起きている時間帯に食事など取れたことがなかった」
「玄関から外に飛び出してしまうので、玄関に布団を敷いて寝ていた。やがて玄関は封鎖して家族は勝手口だけを使うようになった」
「行き先のない我が子のためにローンを組んで、『暴れても大丈夫な家』を建てた。しかし、その家は結局使われなくなっていった」
「『支援』は最も困っているときに提供されなかった」

これらはある「強度行動障害」と判定された方の親御さんの言葉です。
なぜ子どもに知的障害や自閉症があることによって、家族や本人の「生活の質」がこのように脅かされなければならないのでしょうか?

行動障害のほとんどは「学習されたもの」です。
したがって、適切なスキルを「再学習」していただいたり、あるいは問題行動が起こりにくく、適切な行動が起こりやすくなるような「環境設定」を行うことにより、行動障害は解決へと向かっていくと考えられています。

しかし、行動障害を作り出すのもまた周囲の環境なのです。
このような状況に置かれる方々を支えるための、そして、このような状況を可能な限り作らないための福祉であり教育なのだと、改めて強い責任感を感じました。

今年度、大阪府と和歌山県で強度行動障害支援者養成研修に携わらせていただくことになりました。

大阪と和歌山、それぞれ年内に6回の連続研修を行います。
大阪の案内はこちら(平成26年度強度行動障がい支援リーダー養成研修)
http://www.pref.osaka.lg.jp/sunagawa/sunagawa/oshirase.html

今週、大阪府の研修会がスタートしました。
第1回目の内容は、「目標設定と行動記録」。

「問題行動とは何が問題なのか?」
「支援の最終ゴールは、問題行動をなくすことなのか?」
「利用者さんのQOLを向上させるとは、具体的に何をどうすることなのか?」

など、少々抽象的なテーマではあったのですが、グループ内で具体的な形になるようディスカッションしていただきました。
「目標設定と標的行動の定義」は、6回の連続研修の中の「山場」であると思っていたのですが、何とか計画通り進めることができたように思います。

和歌山県のスケジュールが公開されればまたお知らせしたいと思います。
第1回は公開講座なので、どなたでも受講していただくことができます。
(もしかすると何かしらの条件がつくのかもしれませんが・・・)

これまでは鳥取と福岡を中心に行われていた強度行動障害支援者養成研修ですが、今年度から大阪・和歌山をはじめとして全国各地に少しずつ展開されていっているようです。

行動障害の理解と支援については、既に応用行動分析学やPositive Behavior Supportにおいて相当の蓄積があります。
このような知見を現場に浸透させ、施設職員さんと問題解決のプロセスを共有し、施設利用者さんの生活の質を向上させる仕事ができればと思います。

これらの事業は、次年度以降も継続して実施される予定です。
多くの福祉関係者の方にご関心を持っていただければと思います。

osaka.jpg 



【2014/07/11 11:53】 | お知らせ
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週末、徳島の阿南支援学校さんにお邪魔して、県の発達障害理解推進拠点事業の一環として「学校全体で取り組むポジティブ支援」という演題で講演をさせていただきました。

徳島県といえば、日本行動分析学会の2011年度学会賞(実践賞)を受賞された徳島ABA研究会。
この研究会に関わられておられた先生方が、各学校や教育行政において活躍されています。
http://tokushimaaba-renraku.blogspot.jp/2012/09/blog-post.html

去年の教育心理学会のシンポジウムスライドも発見!
http://www.workitout.jp/simamune/contents/JAEP2013

講演の前後に、過去に先生方が取り組まれてきた事例、そして現在取り組まれている事例についてお教えいただきましたが、「標的行動の定義」、「記録を取る」、「データをグラフ化する」という、「学校ではなかなか難しいこと」が当たり前のようになされていたことにとても驚きました。

とても一朝一夕にできることはありません。
この十数年の蓄積の凄さを感じました。

(徳島ABA研究会さんでは、「事例研究支援データベース」を公開されています)
http://abaken-tokushima.net/cgi-bin/case_db/sh_data.cgi?


また最近では、なんとSchool-wide PBSにも取りかかり始められているそうです。
http://www.tokushima-ec.ed.jp/education_document/special_support/pdf/manabinowari-huretto.pdf

学業面の支援を含めた多層支援モデルを各校にいかに築いていくかという課題は、まだまだこれから取り組んでいかれるという段階ではありますが、その実現に向けての確かな基盤があります。

このような取り組みを支援することが自分の役割であると考えておりますので、私も先生方から学びながら、最大限貢献していきたいと思いました。

ABAやPBSは、ある固定化されたプログラムではなく、行動の原理であり問題解決のプロセスです。
「学校全体で」このような支援に取り組むといっても、それは先生方の実践に対して「こうしなさい」と拘束するというわけではないんですね。
乱暴な言い方かも知れませんが、「問題を理解するための枠組み」や「方針」や「解決のプロセス」を"ゆるーく”共有するということなんだと思います。

先生方の普段の実践を整理して合理化して促進させるような、それでいて先生方の個性や多様性が滲み出るようなSchool-wide PBSが実現できるようお手伝いしたいと思います。

IMG_1925.jpg 


スクールワイドPBS―学校全体で取り組むポジティブな行動支援スクールワイドPBS―学校全体で取り組むポジティブな行動支援
(2013/11/22)
ディアンヌ A.クローン、ロバート H.ホーナー 他

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【2014/07/06 22:39】 | 学校教育
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現場の教師より
「スクールワイド」な支援は小学校より
中学校の方が現場としては進んでいると思う。
その必要性も高いため。

後は現実的には(当然であるが)管理職の力・意識
でしょう。

「スクールワイド」な支援はアメリカでも先進的な事例があるかもしれませんが、日本では遠い先に部分的に導入されるだけでしょう。

現実的に制度が違い過ぎる。クラスサイズや教員以外の関連職種が学校に入ることなど、共通の基盤ができてこと、実現可能なことも多いと思う。

行動分析に基づく支援を批判しているわけではありませんが、研究ー現場の乖離がやはりかなりありますね。(行動分析やアメリカの事例はすばらしいと思いますよ。ただ現場の人間からしたらやっぱり
行動分析に基づく支援や考え方って、まだまだ普及していない実感です)








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久しぶりのブログ更新。
ブログを書くのはいつも後回しになるので、普段から筆が遅いのですが...
今回は4月から職場が変わったこともあり、少々落ち着かずバタバタしておりました。

しかしはやいもので、北海道から関西に移ってもう3ヶ月。
少しずつ新しい生活にも慣れてきました。

さて、タイトルにありますように、先日、弘前大学で開催された行動分析学会に参加してきました。
そこでトークする機会をいただいた「インクルーシブ教育システムの構築:PBS・RTIモデルの応用と課題」というシンポジウムが、今後の実践や研究にとって重要であると思われたので、簡単ではありますが振り返っておこうと思います。

program.png

私は、教員研修を行った研究のデータをもとに以下のことをお話しさせていただきました。

①インクルーシブ教育の実現に向けて、行動分析学の知見は重要
②ただし、「行動変容のテクニック」のみが学校に伝わるのであればその意義は半減する
③重要なのは、随伴性の分析から子どもの不適応状態を理解し、「なぜ?」を考えて対応できる専門性
④これまでの研究で得られたデータからは、機能的アセスメントにおける情報収集と情報整理の「練習」だけを繰り返しても効果が薄く、「行動分析学の基礎的知識」が前提として必要であることが示唆されている
⑤しかし、行動分析学の基礎的知識を獲得するためには、時間と労力が必要
⑥「質の保証」と「普及」のジレンマとバランスをどうするか?
⑦データは「研修だけでは不十分な事例」があったことが示唆されている
⑧そのような事例に対して、どのような付加的なサポートを行えばいいのか検討しなければならない

さらに指定討論においては、以下のことを提案させていただきました。
(言い足りなかった分をちょっと補完して書きます)

①School-wide PBSやRTIにおける第一層支援(ユニバーサルな介入)、第二層支援(小グループに対する介入)は、日本ではまだまだ研究自体が少ないので、実践的な研究が必要
②第三層支援(個別支援)は既にかなりの実践例とエビデンスがあるので、今後は開発よりむしろ、それらの手続きを学校で効果的・持続的に実施するためのシステム・運用の在り方に関する検討が必要
③この領域に関心を持つ日本の研究者や実践家で、一緒にビッグマップを描き、課題とタスクを共有する必要がある。年に数回しかない学会では不十分。

特に③の動きを作るためにはやはり何らかの仕掛けが必要だと思うのですが、年内には何か具体的な一歩を踏み出せればと思います。

野口晃菜さんの米国におけるRTIのお話、馬場ちはるさんの日本の小学校における課題従事行動に対する支援のご報告は大変興味深い内容でした。

写真 (5)

特に印象深かったのは、井上先生が仰っていた「インクルージョンを進めるためには新たな強化を創出することが必要」というコメントでした。
凄く単純な例を挙げれば、例えば「困っている人を助けること」に対して、社会的な強化が随伴される環境を作るなどといったことです。

一般的な言い方をすれば、新たな「価値観」を作るということになるのでしょう。

そのように考えれば、「教師の行動」についても、「研修」(知識の伝達やスキル訓練)だけでは不十分であり、「支援行動が自発し強化される随伴性」を創出することが必要なのだと思います。
School-wide PBSで示されることの多いこの概念図は、そういうことを示しているのだなと改めて理解しました。


model.png 


後は旅の写真。
料理やリンゴは美味しく、温泉も良かったです(カプセルホテルですけど天然温泉)。

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keshiki2.jpg 
keshiki.jpg 



【2014/07/04 14:08】 | 行動分析学
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