大久保賢一@畿央大学のブログです。特別支援教育、応用行動分析学(ABA)、日々のつぶやき等。
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このタイトルは、先日、新聞で目にしたdocomoの広告のフレーズ。
「約8割の子どもたちが解約を望むサービスを、これからもドコモは提供し続けます」

一瞬、「え!?」と思って、広告を注目してしまった私。
「“人が嫌がるサービスを提供する”って、どういうことやねん!?」と思ったわけです。

まあ、よく読めば、フィルタリングサービスに関するフレーズだったのですが、ここで興味を持ったのは、フィルタリングサービスの内容やその是非ではなく、「他の記事をボーッと斜め読みしていた私が、思わずこの広告に目を留めた」という事実でした。

このような時、普段、我々は「広告の言い回しのうまさ」や「読み手の興味関心」などに原因を帰属させがちです。

また、「ずっと目を留め過ぎてしまうこと」や「見逃してしまうこと」が問題になる場合には、個人の「固執性」や「不注意・注意欠陥」という個体内要因に原因を帰属させてしまいがちです。

さて、行動分析学では「注意」や「不注意」をどのように考えるのでしょうか?

武藤(2003)によると、「注意」という用語は、内的な仮説構成概念として忌避されてきたという経緯があったものの、近年では、「観察反応(observing behavior)」として分析の対象にされてきていると報告されています。

また、この武藤(2003)における先行研究のレビューのまとめとして記述されている「観察・注意反応の取り扱いは、他の行動と本質的な差はない」という点が重要です。
(この論文では、「刺激性制御トポグラフィー」という概念が中心的なテーマなのですが、これも「いわゆる認知機能」と関連する興味深いトピックなので、また別の記事で取り上げたいと思います)

つまり、「注意を向けること」は「行動(オペラント行動)」であり、ABC分析の枠組みで分析することが可能であり、強化や弱化や消去という随伴性によって影響を受けるということです。

冒頭の「どういうこと!?」と、あるフレーズに注目してしまうのは、「なるほど!」という感覚によって強化されてきたという歴史があるからなのかもしれませんし、あるいは「モヤモヤした状態」が嫌悪事態であり、そこから逃避することによって強化されているといえるのかもしれませんね。

「注意・注目」がオペラント行動であれば、「不注意」の原因を個人の特性に帰属させて終わるのではなく、それをコントロールする方略や条件について検討していけるはずです(念のため・・・これは個体差の存在を否定するという意味ではありません)。

先行研究がありそうですから、またレビューしていきたいと思います。


先日のセンター試験では、“しつこく”「受験番号を確認しなさい」と指示しているにも関わらず、受験番号のマークミスがあったそうです。
このようなミスも、教示と受験者の行動との相互作用や随伴性をしっかりと分析すれば、起こるべくして起こっているといえるのかもしれず、ミスを防ぐためのさらに効果的な教示マニュアルにバージョンアップできるかもしれません。


武藤崇(2003)「注意」と刺激性制御トポグラフィー : ADHDの支援方法への示唆.立命館人間科学研究,6,81-91.


【2011/01/24 15:02】 | 行動分析学
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