大久保賢一@畿央大学のブログです。特別支援教育、応用行動分析学(ABA)、日々のつぶやき等。

先日、うちのゼミ生を連れて日本理化学工業株式会社さんの美唄工場へ見学にお邪魔させていただきました。
http://www.rikagaku.co.jp/handicapped/

タイトルに「その2」とついているのは、実は5年ほど前に1度見学させていただいたことがあったからなのですが、是非もう一度学生たちを連れて行きたいと思っていました。

当ブログの以前の記事でも紹介したことがあったのですが、日本理化学工業株式会社さんは、従業員のおよそ7割が知的障害者であるという会社です。
以前の記事→
http://ohkubo14.blog103.fc2.com/blog-entry-25.html
なかなかスケジュールが合わなかったのですが、ついに後期に入り見学が実現しました。

工場長さんに会社概要を熱心にご説明いただき、実際に従業員の方々が働いておられる現場を見せていただくことができました。


↓数字が読めない方でも、色の弁別ができれば作業が可能になるはかり
はかり

 

 ↓数字が読めなくても時間がわかる砂時計

砂時計



↓数字が理解できなくても、チョークの長さと太さをチェックできるツール

_______________.jpg

 

「工程が先にあるのではない。個人に合わせて工程を作る」

「なるべく多くの人が変わらず働けるように、『人を減らすための機械化』はしない。しかし、作業が楽になる機械は導入する」

「基本的には、今持っている能力でいい」

「工程をどうするかは会社が考えること。問題は我々の側にある。その視点を持っていない人はリーダーではない」

「個人の能力と仕事との間にギャップが生じるのは工程のせい。ギャップを個人の責任にする会社はなくなってしまう」

「『能力』を理由に切った人は一人もいない」

「仕事が難しければ工程を工夫する。一度工夫してうまくいかなければ何回でも工夫する」

「『思い』だけでは経営が成り立たないので、「思い」を形にして経営戦略に落とし込む必要がある。そうしないと商品は売れない」

「そのように厳しい環境であるにも関わらず、『自分が必要とされる環境』にいる社員は、生き生きするということを学んだ」


上に書いたのは、私が工場長さんのお話しをうかがいながら、その内容をメモさせていただいたものです。
どのお話しにも共感すると同時に、胸が熱くなる思いがしました。


まさにICFなんてものが言われ出す何十年も前から、「障害は環境要因によって作られる」という「障害観」を持って、経営されていたということなのだと思います。

 

もちろん商品も魅力的であったので、色々と買わせていただきました。

ガラスに書いても消せる「キットパス」
http://youtu.be/gUABzS2fDjk


【2013/12/24 23:32】 | 就労
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以前、「日本で一番大切にしたい会社」という本を読み、日本理化学工業株式会社という企業を知りました。

日本理化学工業株式会社のホームページはこちら→クリック

ホタテの貝殻を使った「ダストレスチョーク」を生産しているメーカーなのですが、なんとそこの従業員のおよそ7割が知的障害を抱えた方だというのです。

ご存じの通り、我が国における「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく「法定雇用率」は1.8%です。
過半数の企業がこの数値すら達成できていない現状からすれば、70%という数値が、いかに桁違いに多いものかご理解いただけるかと思います。

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最近では、鳩山由紀夫前首相の所信表明演説の中で紹介されて話題になりましたね。


神奈川県の川崎市と北海道の美唄市に工場があるのですが、美唄は旭川から車で1時間ほどなので、是非一度行ってみたいとずっと思っていました。
2年ほど前、突然電話をかけて「見学させてください」とお願いしたところ、快く受け入れてくださり、私と学生と二人で見学に出かけました。

工場を見学させていただいて、まず驚いたことは、「たくさんいる従業員さんの中で、誰が“知的障害のある方”で、誰が“知的障害のない方”なのかがわからない」ということでした。
それくらい、皆、スムーズに、自発的に、そして懸命に作業に取り組まれていました。

次に印象深かったことは、皆、とても「楽しそう」で「生き生きとされていた」ことでした。
学校教育の枠組みには、うまく適応できなかった方の中で、こちらに就職して劇的に改善した事例もあるといいます。

動画を見ていただければ、その理由について何となく感じ取っていただけるかと思います。

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従業員の方が、作業している様子をじっくり見てみると、至る所に「なるほど!」という工夫が満載でした。
数字が理解できない方が、はかりで材料を量るために、材料の器の色と同じ色の目印をはかりにつけて、「色マッチング」で作業できるようにしてあったり、作業量を明確に示した「トークン表のようなもの」を掲示し、セルフマネージメントを促していたり、「片付いている状態」を写真に撮って視覚的に示していたり・・・

工場長さんに、「このはかりに色をつける工夫などは、どうやって思いつかれたのですか?」と質問したところ、返ってきた答えは・・・

「だってこの人たち、信号機をきちんと理解して、ここまで通ってきているんですよ。だから、『色を理解できていること』を我々は知っていたのです」

これぞ「支援に直結する本当のアセスメント」だと思いました。
IQの値や知能検査のプロフィールに関する情報、「いわゆる○○プログラム・□□アプローチ」も、この工場で起こっていることの成立条件にはなっていません。

特別支援教育において、生徒の就労に向け、何に取り組むべきか・・・
そして、教育の枠を超え、障害のある方々の人生を豊かにするための「働くということ」をいかに保障すればいいのか、本当に色々なことについて考えさせられました。

見学の帰りに、日本理化学工業さんで作っているチョークをいくつか買ったのですが、大変使いやすく、オススメですよ。

dustlesschalk002.jpg




日本でいちばん大切にしたい会社日本でいちばん大切にしたい会社
(2008/03/21)
坂本 光司

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【2011/04/18 07:13】 | 就労
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西風
大久保先生
大変胸に響く記事でした。

とかく診断名で語られがちな中、できることとできないこと、こうすればできる可能性があること等をみつめ、就労に向けて整えていく。その大切さを再確認しました。

最後の皆さんの笑顔、社長の〆の一言、感じ入りました。
また、思いを新たに実践していきます。

今後ともよろしくお願いします。




大久保賢一
西風さま

当ブログ立ち上げ以来の初コメントありがとうございましたm(_ _)m

こちらこそ、よろしくお願いいたします。


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今日も本を紹介します。
「夢をかなえる!特別支援学校の進路指導」

特に、知的障害特別支援学校における進路指導について学ぶのにオススメの本です。
具体的な事例が紹介されていて、わかりやすく、実際の事例にも応用しやすいと思います。

印象に残ったのは、とにかく実際体験が重要であるということ。生徒が現場を体験し、現場を知ることで、ニーズや希望が掘り起こされる場合もあるからです。
また、「訓練してから就労」という発想ではなく、「就職した場所で適切な支援を充実させる」という、まさに「ICF的発想」がとても大切なのだということを改めて実感しました。

しかし、「発想」だけではうまくいきません。実習先、就労先を確保するために、ただお願いするだけではダメで、飛び込み営業で「開拓」するのだという「気概」が必要なのだという内容も大変印象に残りました。


進路指導におけるテクニカルな部分としては、以下のポイントが重要であると述べられています。


・アセスメント
・本人と仕事とのマッチング
・連携と継続的なフォロー
・他の教科や領域との関連性

知的障害者の就労に関しては、私は以前、「日本理化学工業株式会社」に見学に行って、深く感銘を受けたことがありました。
そのときのことについては、また別の機会に書こうと思います。


以下、目次

第1章    特別支援学校の進路指導
1.特別支援学校の進路指導の現状と課題
2.卒業後の進路を考えた商学部からの教育体制作り
3.アセスメントの重要性
4.具体的進路指導、職業指導
5.特別支援学校卒業後の進路

第2章 夢を叶える!進路指導の実際
事例1~事例9



また、行動分析学研究においても、最近、就労支援に関するレビュー論文が出ていて、参考になるかと思います。

若林功(2009)応用行動分析学は発達障害者の就労支援にどのように貢献しているのか? : 米国の文献を中心とした概観.行動分析学研究,23(1),5-32.





夢をかなえる!特別支援学校の進路指導夢をかなえる!特別支援学校の進路指導
(2009/09)
梅永 雄二

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【2011/04/11 22:05】 | 就労
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