大久保賢一@畿央大学のブログです。特別支援教育、応用行動分析学(ABA)、日々のつぶやき等。
今年度の前期に、大学院の授業で「発達障害教育特論」という授業を担当しました。

受講者が発達障害に関わる文献をレビューし、プレゼンテーションを行い、皆でディスカッションを深めるという授業でした。

私自身の備忘録として、研究室のサイトに「授業で用いた文献のリスト」と「受講者の発表資料」を整理しました。

今までパスワード付のページだったのですが、どなたかのお役に立つこともあるかもしれないと思い、設定を変更してページを公開することにしました。


ページへのリンク→クリック


授業のテーマは以下のような内容でした。

○インクルーシブ教育
○発達障害の告知・自己理解
○発達障害と薬物療法
○発達障害(知的障害)と就労
○DSM-V
○新学習指導要領
○発達障害児・者の余暇支援
○発達障害と家族支援
○発達障害と非行・犯罪・司法
○ABAとTEACCH
○発達障害とフラッシュバック
○発達障害と虐待
○発達障害といじめ




【2011/09/28 15:25】 | 大学教育
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先日、私が担当している「特別支援教育概論」という授業で、授業の導入として、受講生に作文を書いてもらいました。

テーマは、「障害、あるいは障害者をテーマにして自由に記述してください」というもの。
この日の受講生は61名で、1年生が37名、2年生が14名、3年生が7名、4年生が3名でした。

作文の内容は以下の通り。

(含まれていた主な記述内容の数を表に記載。一人の作文の中における複数カウント有り)

1年生の受講生が多いことから、ほぼ「ハイティーンのベースライン」と考えてもいいのではないかなあと思っております。


偏見について 25
自分が子どもの時に「障害者」に関わったエピソード 22
生活する上で不自由 12
助けが必要 6
「障害」は身近にあるもの(家族の話なども含めて) 5
世間で理解されていない 4
テレビ見たり、本で読んだりして興味を持ったり知識を得た 3
「障害者」は人として大切なことを知っている、教えてくれる 2
学生時代に総合学習などで「障害者体験」をした 2
「障害」は「個性」である 2
「障害」は「個性」などではない 2
自分とは無関係だと思っていた 2
普通とは違う 2
福祉における身体障害・知的障害・精神障害について述べる 1
もっと知りたい、学びたい 1
将来教師になったときの不安 1
支援されずに苦しんでいた「障害者」のエピソード 1
インクルーシブ教育に反対 1
「障害」のある子どもも、そうでない子どもも一緒に過ごすべき 1

全体的な傾向としては、障害のある方に関わった実体験について触れつつ、「偏見」をテーマにした作文が多いということ。
特に、自分自身の「偏見」を見つめ直すような文章が多かったように思います。

少数ながら「障害は個性だ」VS「障害は個性などではない」や「インクルーシブ教育に賛成」VS「インクルーシブ教育に反対」などという対立する意見があることなども、興味深いです。
うまく議論に持ち込めば、かなり「障害」に関する本質的な議論に迫れるのではないかと期待できます。

あと、全体的な印象としては、生活困難や不適応としての「障害」、制度で定義されている「障害」、医学的に診断される「障害」を混同している様子が見受けられました。

例えばですが、教育における「肢体不自由」と福祉における「身体障害」をきちんと区別して理解できている者は皆無でした。


そこで、今後の授業の中で以下のことを整理して伝える必要性を感じました。


1.生活困難や不適応としての「障害」:ICIDHやICFのコンセプト
2.制度上定義されている「障害」:教育と福祉の制度・法律
3.医学的に診断される「障害」:DSMとICD

確かに初学者にはわかりにくい部分ですよね。

「アスペルガーの診断を受けていて、精神障害の手帳を持っているけど、ICFの観点からは環境面の支援があり適応がよいので『障害』という状態ではない」
「医学的診断はなくて福祉サービスも受けていないけど、不登校が長期化し、病弱の特別支援学校に通っている」


・・・なんていう事例の話を聞いたら、確かに「『障害』って一体何なの?」と訳がわからんようになると思います

恐らくポイントは「『障害』とは特別なものではなく、誰にでも起こりえる『状態』である」、「『障害』は特性の1つに過ぎない」なんて言っておきながら、制度上においては「障害者」と「障害者ではない者」の間に明確な線が引かれているという「矛盾」について、いかに理解してもらうかだと思います。

彼らが大学での学びを深めていくとともに、このような「障害観」がどう変遷していくのか・・・

これって、面白い研究テーマになるような気が・・・




【2011/04/25 22:50】 | 大学教育
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今日はうちの大学でハラスメント防止のための研修会があり、それに参加してきました。

講師は弁護士の先生。


「まあそうだよなあ」と確認できたこととしては・・・
  • ハラスメントは「相手のとらえ方」が基準になる
  • 「良い人間関係ができている」という思い込みが危ない
  • 上下関係などのために、相手がいつも「拒否の意志」を表明できるとは限らない
  • 特に大学においては、教員が単位や学位などに関する強い権限を持つことから、支配・服従関係に陥りやすい
実際的には「教員が生殺与奪権を持っている」という状況になり、それが問題発生の鍵になっているとのことでした。


まあ色々あったこともあり、「ハラスメント」という言葉には敏感にならざるを得ないのですが、「相手のとらえ方」が基準になるということであれば、教員にとって学生とのかかわりは、なかなか恐ろしいものになります。

不適切な行動を取る学生を指導したり、場合によっては叱責したりする。
あるいは、単位を出すため、活動への参加を許可するため、「ある条件を課す」、「できなければ認めない」ということは必要なことです。

うーん、どこまでが指導で、どこからがハラスメントなのか?


今日、講師の先生が紹介してくれた判例は、「誰が聞いても黒」というような内容でしたが、「結構グレー」な事例も実は多くあるのではないでしょうか?

まあ、子どもの問題行動への対応と同じで、「何をしてはいけないか?」ということを考えれば際限なく禁止事項を並べなくてはならなくなるので、「どのような指導の形が望ましいのか?」を検討することが大切なのでしょうね。

また、講師の先生のお話の中で印象深かったのは、「ハラスメントを防止するためには情報公開をきっちりと行い、外部機関に調査を委託することが必要である」というところでした。

外部機関に委託することが必要な理由は、「学内の相談機関は、“問題を揉み消すため”に相談に乗る(ふりをする?)から」ということでした。

なるほど。

ハラスメントの問題に取り組むためには、個人の「心がけ」だけではなく、組織の仕組みも作っていく必要があるように思いました。



論文を検索したら、「アカデミックハラスメントの研究」が何本か見つかりました。
(本文へのリンクがあります)

小田部貴子・丸野俊一・舛田亮太(2010)アカデミック・ハラスメントの生起実態とその背景要因の分析.九州大学心理学研究,11,45-56.

村上英吾(2003)研究者養成過程における権力性と性差別.技術マネジメント研究,2, 14-26.


また、ググったら「アカデミックハラスメントをなくすネットワーク」というNPOも見つけました。




【2011/03/03 21:42】 | 大学教育
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先日、ようやくセンター試験の監督も終わり、やれやれと思っていたところ、このような記事を見つけました。

発達障害の受験生わずか95人    中国新聞'11/1/13

 15、16の両日にある大学入試センター試験で、発達障害を理由に別室で受験するなどの特別措置を申請した受験生は95人にとどまった。全志願者 55万8984人の0・017%。今回追加された特別措置だが、小中学生の6・3%に発達障害があるとの文部科学省試算を根拠に、専門家は措置の周知不足などを指摘している。

 特別措置はこれまで「視覚障害」「聴覚障害」「肢体不自由」「病弱」「その他」で認められてきた。今回加わった「発達障害」では、自閉症や学習障害(LD)など個々の特性に応じて、別室会場を用意▽試験時間を1・3倍に延長▽拡大文字の問題冊子の配布―など9項目を明記した。

 申請には、診断書や学校の意見書を添え、審査を受ける必要がある。出願締め切りまでに申し込んだのは95人。広島大大学院教育学研究科の落合俊郎教授(特別支援教育学)は、2010年春の高卒者の大学進学率が54・3%だったことなどを踏まえ「発達障害のある受験生は単純計算で、志願者の数%いてもおかしくない」と指摘する。

 発達障害児の教育支援に携わる大阪医科大LDセンターの竹田契一顧問は「情報が学校現場に行き渡っていない面と、発達障害への高校側の認識不足から積極的な申請に至っていない面がある」と分析し、改善を求めている。


恥ずかしながら、私も特別措置の「存在」は知っていたのですが、具体的にどのような措置なのかはきちんと理解していませんでした。

大学入試センターの資料を見ると以下の通り。
www.dnc.ac.jp/modules/cfile/index.php

・試験時間の延長(1.3倍)
・チェック解答(大久保:マークを塗りつぶさなくてもOKということかな?)
・拡大文字問題冊子の配付(一般問題冊子と併用)
・別室の設定 
・1階又はエレべーターが利用可能な試験室で受験・試験室入口までの付添者の同伴
・試験場への乗用車での入構
・トイレに近い試験室で受験
・座席を試験室の出入口に近いところに指定

これは助かる受験生がかなりいると思うんですが、これからさらに普及していくといいですね。

【2011/01/18 20:14】 | 大学教育
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